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「先生はどうやって精油を選んでいるんですか?」

施術後によく聞かれます。

正直に言うと、選ぶ基準は一つではありません。頭で考えていることと、直感でやっていることが、同時に動いています。今日はそのプロセスを、できるだけ正直に書いてみます。

まず、「症状」より「状態」を見る

「肩こりに効く精油は何ですか?」という質問をよく受けます。

でも私が最初に見るのは、症状ではなく今日のその人の状態です。

同じ「肩こり」でも、ストレスで交感神経が張り詰めている状態なのか、疲れ果てて副交感神経も低下している状態なのかで、まったく違う精油を選びます。前者には鎮静・弛緩系の精油、後者には少し温めて循環を促す精油の方が合うことが多い。

施術前のカウンセリングで、今日の睡眠・食欲・気分・体調の変化を聞くのは、このためです。症状の奥にある「今日の状態」を読むための時間です。

私が精油を選ぶ3つのステップ

i

カウンセリングで「状態」を読む

今日の睡眠の質、身体の重さ、気分の波、仕事や生活のストレス。こうした情報から、自律神経がどちらに傾いているか、身体に熱がこもっているか冷えているか、エネルギーが過剰か不足かを判断します。

ii

状態から精油を処方する

初回来店時に「アロマには漢方のような役割があるので、こちらで処方していいですか?」とお伺いしています。多くの方にお任せいただき、カウンセリングの内容からその日の状態に合った精油を選んでいます。ご希望の方には実際に香りを嗅いでいただいて一緒に決めることもできます。身体は今必要な香りを知っているので、その反応は正直です。

iii

ブレンドして「重なり」を作る

単体の精油より、2〜3種をブレンドした方が効果が複雑に重なります。ベースになる香り・橋渡しになる香り・アクセントになる香りを組み合わせて、その日のその方だけのブレンドを作ります。

私がよく使う精油と、その理由

参考までに、スピラレでよく登場する精油とその使い所を少しだけご紹介します。

ラベンダー 緊張・不安・眠れない方の定番。リナロールという成分がGABAの働きを助け、神経の興奮を鎮めます。ただし単調になりがちなので、他の精油と組み合わせることが多いです。
マジョラム 副交感神経を優位にする作用が強く、「どうしても緊張が取れない」「夜になっても頭が止まらない」という方に。ラベンダーより少し温かみのある香りで、男性にも好まれます。
ゼラニウム ホルモンバランスを整える作用があるとされ、更年期・PMS・気分の波が大きい方に。自律神経の調整にも使います。やや甘い花の香りで、好みが分かれる精油です。
フランキンセンス 深い呼吸を促す作用があり、「呼吸が浅い」「頭が重い」方に。樹脂系の落ち着いた香りは、瞑想にも使われるほど心を鎮める効果があります。男性にも人気です。
ベルガモット 柑橘系の中で最も自律神経への作用が強いとされます。不安・落ち込み・気力が出ない方に。軽やかな香りで、重い気分を少し上向きにしてくれます。
クラリセージ 更年期・PMSのほてりや情緒不安定に。エストロゲン様作用があるとされ、ホルモンバランスが揺れている時期に使います。妊娠中は使用不可のため、カウンセリングで必ず確認します。

精油は「万能」ではありません:
同じ精油でも、その方の体質・体調・服薬状況・妊娠の有無によって使えない場合があります。「ラベンダーは誰にでもいい」ということはなく、状態によっては逆効果になることもあります。スピラレでは必ずカウンセリングで確認してから使用しています。市販の精油をご自宅でお使いになる際も、禁忌事項の確認をおすすめします。

「いい香り」より「今必要な香り」

精油選びで私が最も大切にしていることは、「いい香り」かどうかより「今のあなたに必要か」という視点です。

好みの香りと、身体が必要としている香りは、一致することも多いですが、ずれることもある。カウンセリングで状態を読んだ上で候補を絞り、最終的にはお客様自身に嗅いでいただいて決める——このプロセスを大切にしているのは、身体は正直だからです。

「なんかこっちの方がいい気がする」という直感は、たいてい当たっています。

その日、あなたの身体が「いい」と感じた香りが、
その日のあなたに一番必要な香りです。

精油は「知識で選ぶもの」でもあり、「身体で選ぶもの」でもある。その両方が重なったとき、施術がより深く届く気がしています。

— 山口 美樹

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