「痛いから効く」は
本当ですか?
「強めにお願いします。痛い方が効く気がして」
施術前にそうおっしゃる方は少なくありません。
痛みを伴う施術が有効なケースは確かに存在します。でも「痛み自体が効果の指標」ではありません。今日はこの誤解を、丁寧にほどいてみます。
「痛気持ちいい」の正体
強い圧をかけられたとき、痛みの中に気持ちよさを感じる——この「痛気持ちいい」という感覚には、理由があります。
強い刺激が加わると、身体は防御反応としてエンドルフィン(鎮痛作用のある神経伝達物質)を分泌します。このエンドルフィンが、痛みの中に快感を生み出します。いわば身体が自ら「痛み止め」を出している状態です。
つまり「痛気持ちいい」は、効いているサインではなく、身体が痛みに対処しているサインでもあります。
痛みを伴う施術が有効な場合・そうでない場合
有効なケース
トリガーポイント(筋肉の中の硬結点)への的確なアプローチ、スポーツ後の筋膜リリース、特定の組織の癒着を剥がす施術など。この場合の痛みは「目的地への刺激」であり、セラピストが意図的にコントロールしている痛みです。
効果につながらないケース
「強くすれば深く届く」という思い込みで全体に強圧をかける施術、痛みで筋肉が防御反応として緊張してしまうほどの圧、身体が「危険」と判断して交感神経が上がった状態での施術。これらは逆効果になることがあります。
特に問題なのは、痛みによって筋肉が「逃げる」反応を起こすケースです。強い圧をかけると筋肉は反射的に収縮して身体を守ろうとします。ほぐしているつもりが、むしろ筋肉を緊張させていることがあります。
スピラレの施術と「痛み」の関係
スピラレの深筋膜リリースは、理学療法の「筋膜マニピュレーション」の考え方をベースにした施術です。リハビリの現場でも用いられるアプローチで、悩みの深さや期間によっては、痛みを伴うことがあります。
だから「スピラレは痛くない」とは言いません。
ただ、その痛みの意味が違います。強い圧で組織を力任せに壊すのではなく、癒着した筋膜にアプローチすることで身体の修復反応を引き出す痛みです。通い続けるうちに、痛みの質が変わっていく——「最初は痛かったけど、だんだん気持ちよさに変わってきた」という声をよくいただくのはそのためです。
「何をされているのかわからないけど、
気がついたら身体が変わっている」
——これが、深筋膜リリースの正直な感覚です。
本当の効果の指標は「2日後」にある
施術の効果を測るのに、一番信頼できる指標は「施術後2日目の身体」です。
深筋膜リリースでは、癒着した筋膜にあえて刺激を与えることで修復反応を促します。この修復には約48時間かかるため、施術後2日目に「身体が軽くなった」と感じる方が多いです。
逆に翌日(1日目)に身体が重かったり、だるさが出ることがあります。これは好転反応と呼ばれるもので、それだけ日々身体を酷使してきたサインでもあります。「翌日しんどかった」と感じた方は、それだけ変化が起きているということ。2日目にどう変わったかを、ぜひ確認してみてください。
スピラレでの圧について:
施術中に圧の強さについてご希望をお伝えいただけます。ただ「強め」と「深め」は別物です。強い圧が必ずしも深部に届くわけではなく、むしろ身体の防御反応を解除した状態でのアプローチの方が、より深い層に変化が起きやすいことをお伝えしています。
「痛いから効く」ではなく、「2日後が楽になっているから効いた」。
そういう施術の基準を、ぜひ持ってみてください。
— 山口 美樹
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