呼吸が浅くなっていませんか。
横隔膜と「深い呼吸」の話。
施術をしていると、年々、呼吸の浅い方が増えていると感じます。
仰向けになっていただいたとき、胸がほとんど動いていない。
「深呼吸してみてください」とお伝えすると、肩だけが上がる。
お腹が膨らまない。
本人は「普通に呼吸している」と思っています。
でも、身体はとっくに教えてくれていた。
肩こり、頭の重さ、慢性的な疲労感——として。
呼吸をしているのは、肺だけではない
「呼吸=肺が動く」と思っている方が多いのですが、実は主役は別にいます。
それが、横隔膜(おうかくまく)です。
横隔膜は、胸とお腹の境目にある、ドーム状の筋肉。息を吸うとき、この筋肉が下に下がることでお腹が膨らみ、肺に空気が入ります。息を吐くとき、横隔膜が上がって空気が出ていく。
本来の呼吸とは、横隔膜がしっかり上下に動くことで成り立っています。
ところが、横隔膜が固まっていると、この動きが小さくなる。
横隔膜を補うために肩や首の筋肉が使われ始め、「肩で息をする」状態になっていくのです。
なぜ、横隔膜は固まるのか
主な理由は3つあります。
① 長時間の前傾姿勢
デスクワーク、スマホ、運転——現代の生活は「前かがみ」の時間が圧倒的に多い。前傾姿勢が続くと肋骨が下がり、横隔膜が圧迫されて動きにくくなります。
② ストレスと緊張
東洋医学では「気が上がる」と表現しますが、精神的な緊張やストレスがかかると、身体は無意識に息を止めようとします。横隔膜が緊張し、呼吸が胸だけの浅いものになっていく。
③ 「呼吸を忘れている」日常
集中しているとき、画面を見ているとき、無意識に呼吸が止まっていることがあります。「メール無呼吸症候群」という言葉があるほど、現代人は意識しないと呼吸を忘れやすい。
施術者として感じること:
以前と比べて、初来店の方の横隔膜周りが固い方の割合が明らかに増えています。コロナ禍以降、在宅ワークが増えたことも一因かもしれません。一日中、同じ姿勢で画面と向き合う。外に出ない。深く息をするタイミングがない。気がついたら、ずっと浅く呼吸していた——そういう方が、本当に多いんです。
浅い呼吸が、身体に起こすこと
呼吸が浅くなると、身体にはさまざまな影響が出ます。
自律神経が乱れる
横隔膜の動きは、迷走神経(副交感神経)と深く連動しています。横隔膜がちゃんと動くことで、身体は「安心・リラックス」の状態に切り替わる。逆に言うと、横隔膜が固まると交感神経優位の状態が続きやすくなります。眠れない、緊張が取れない、疲れが抜けない——これらの多くが、呼吸の浅さと関係しています。
首・肩・頭に負担がかかる
横隔膜が動かない分、呼吸を肩や首の筋肉で補おうとします。これが慢性的な肩こり・首こり・頭痛の原因の一つです。マッサージでほぐしても「すぐ戻る」という方は、もしかしたら呼吸のパターンから変える必要があるかもしれません。
内臓の動きが鈍くなる
横隔膜は呼吸のたびに胃や腸を上下に動かし、内臓のマッサージをする役割も担っています。横隔膜が固まると便秘・むくみ・消化不良にも影響することがあります。
施術後に「息が深くなった」と感じる理由
スピラレでは、施術の中で横隔膜周りへのアプローチを必ず行います。
肋骨の下縁、みぞおちの奥、腰椎との接続部——横隔膜は直接触ることのできない筋肉ですが、周囲の筋膜や神経系を整えることで、動きを取り戻すことができます。
「施術後、なんか息が深くなった気がする」
そうおっしゃる方が、とても多いんです。
あの感覚は、横隔膜が動き出したサインだと思っています。
身体が、やっと息をできた瞬間。
肩こりや疲労感が「施術のあと、もちがいい」と感じる背景には、こういった呼吸の変化も関係しています。
今日からできる、一つだけのこと
難しいことは何もいりません。
一つだけ試してみてください。
椅子に座った状態で、お腹に手を当てて、そこに向かって息を吸う。
胸ではなく、お腹が膨らむように。
最初はうまくいかなくてOKです。
「あ、全然お腹が動かない」と気づいたこと自体が、はじまりです。
呼吸は、変えられます。
横隔膜は、整えられます。
身体は、必ず応えてくれます。
— 山口 美樹
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